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世の中の構造なんて 大昔の機械仕掛けの化け物に何処かよく似ていると思いませんか?

歯車やリム等でかみ合いながら全体が関連付けられて動いているのです。

そのどこかには切り替えレバーも付いていて 思わぬ方向へ強引に変えられて行ってしまう事もあるでしょう。

デザインという仕事は 状況の全体を見失わないように個々の条件を整えながら要素をバランスさせていく仕事だと思っています。特にプロダクトデザインは一人の力で完結してしまう事は少なく 皆の協力がうまく得られて初めて満足のいく製品が生み出されます。

魅力的な商品とはどのような要素を持っているでしょうか?

今迄に出合った事もないユニークさも大切ですが、本来の目的を見失ってしまった存在はとても哀れです。美しさ、格好良さは条件が整ってこその賜物だと思います。機能美とシンプルさと作り易さは決して相いれないものではありません。隠れた条件を見落とすことなく丁寧に拾い上げて検証していく事こそプロダクトデザインの真の姿だと思っています。

私は社会の中で単なる小さな歯車を回しているにすぎませんが、大きな全体に関わる動作に関連付けられていると思っています。

プロダクトデザインとの付き合いは、かれこれ半世紀以上になりました。当初は放送局関連の機材を開発生産する企業にプロダクトデザイナーとして配属されました。その場所で得た物は人間工学の重要性と、用途をわきまえたシンプル単純設計の技量でした。

自分が頭に描いたスタイリングと、現実の合理的な生産性のはざまで悩みシンプルイズベストを学び取りました。余分な要素を排除したシンプル設計とは、間違いの少ない 生産性に向いた 壊れにくい製品につながりました。

一口にシンプル設計と言っても 一筋縄ではいかず何度も要件を突き詰めた濃縮されたアイディアを必要とします。但しここで合理的設計という一言に集約してはなりません。

なぜなら開発された製品は血の通った人間が使う物であり、それぞれの特質を持った千差万別の思考を満足せねばならないのです。この一点こそがプロダクトデザイナーに課せられた最も重要な発案要素だと考えています。

ここに述べた文章は複雑な背景に乗せられた 色識別も決して最適でない表現がされています。私は一見不合理とも見える表現方法にこそ発案者の心が詰まっているものと思います。

私は理屈っぽい説明はあまり好きではありません。従ってこのような試みをしてみました。

その後デザイン事務所や趣味のオーディオメーカーに長年勤務し自分の独立法人デザイン事務所を開設して、世界企業とも長年のお付き合いを続ける事ができました。

現在は、生きがいとして社会とのつながりを大切に、微力を傾けようと思っています。

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